外国人観光客の増加については、新聞・テレビでもよく取り上げられていますが、大阪で生活をしていると日常的に肌で感じるようになっていますね。少し前までは心斎橋筋商店街や道頓堀といった特定のエリアで見かけるという感じでしたが、最近では梅田エリアやUSJ、地下鉄御堂筋線、さらに弊社の入居するビル(一部がホテル)でも多く見かける状況です…。
年明けに日本政府観光局(JNTO)がプレスリリースで「2015年 過去最高の1,973万7千人!!45年ぶりに訪日外客数と出国日本人数が逆転」という見出しを付けています。45年前というと大阪万博の年です。さて、具体的に直近10年の訪日外客数の推移をみると、以下のとおりです。
2011年に震災の影響で大きく落ち込んでいますが、その後増加基調に転じ、直近で著しく増加しています。また、今年3月には単月で初めて200万人を超え、過去最高となっています。これには花見の人気が高まっていることも影響しているとか。なお、レポコラでは不動産関連指標を掲載していますが、その中に訪日外客数も掲載していますので、ご参照していただければと思います。
さてさて、次に近畿二府四県のビジネスホテルとシティホテルの客室稼働率の推移について見てみたいと思います。一見して右肩上がりなので、全般的に稼働率は改善傾向にあることが窺えます。
但し、国内のビジネス需要や国内旅行者の需要増による影響もあるため、全てがインバウンドによる増加という訳ではありません。ホテルの客室稼働率は100%で満室であるものの、当日の急なキャンセルや販売予約経路の複雑化等によって、通年でみると平均客室稼働率が100%に達するホテルは少なく、ビジネスホテルの場合で90%前後、シティホテルの場合85%前後で実質的には満室という水準になります。それを踏まえると、大阪、京都についてはビジネス、シティとも80%台半ば~後半の水準にあるため、直前では予約が取りにくいという状況が容易に想像されます。兵庫(主に神戸)はビジネス、シティとも上昇幅が大きく、インバウンドの影響が大きいと言えそうです。大阪、京都で溢れた需要が流れている可能性も考えられます。滋賀はビジネスが大きく上昇しているのに対し、シティが横ばいという特徴が窺えます。和歌山は直近で改善が見られるものの、未だ低水準にあります。最後に奈良ですが、ビジネス、シティとも相対的に動きが小さく、インバウンドの影響が小さいと言えます。奈良というと観光資源もあり、大阪、京都へのアクセスも悪くないように思うのですが…。商業性の低さと魅力的なホテルが少ないということでしょうか。そんな奈良にも観光の起爆剤としてアメリカホテルチェーンの「JWマリオットホテル」が2020年に開業予定となっています。
最後に、現在、大阪都心部ではホテルの建設ラッシュといった状況にあります。現状では宿泊需要に裏付けられたものであり、金融環境も良好で投資需要も旺盛です。但し、リーマンショックで最も影響を受けた用途はホテルです。事業収支がベースとなるため、賃貸物件でも変動可能性が大きい点には注意が必要です。