最近は不動産価格が上がっているというお話は一般の方もよく聞かれるのではないでしょうか。
確かに金融緩和等を背景に都心部を中心として地価は全般的に上昇基調にあります。
今回のコラムでは、商業地について「全国の上昇率トップ10」「大阪圏の上昇率トップ5」に注目してその上昇要因を検討したいと思います。
<全国商業地上昇率トップ10>
順位 | 都道府県 | 所在 | 標準地 | 千円/㎡ | 前年比 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 石川県 | 金沢市広岡1丁目 | 金沢5-13 | 343 | 17.1% |
2 | 愛知県 | 名古屋市中村区椿町 | 名古屋中村5-11 | 2,290 | 16.8% |
3 | 東京都 | 中央区銀座4丁目 | 中央5-22 | 33,800 | 14.2% |
4 | 東京都 | 中央区銀座7丁目 | 中央5-23 | 24,300 | 13.6% |
5 | 広島県 | 広島市中区堀川町 | 広島中5-2 | 2,060 | 13.2% |
6 | 東京都 | 中央区銀座2丁目 | 中央5-29 | 24,300 | 13.0% |
7 | 東京都 | 中央区銀座6丁目 | 中央5-2 | 15,700 | 12.9% |
8 | 東京都 | 中央区銀座5丁目 | 中央5-41 | 29,400 | 12.6% |
9 | 愛知県 | 名古屋市中村区名駅4丁目 | 名古屋中村5-1 | 6,250 | 12.4% |
10 | 愛知県 | 名古屋市中村区名駅1丁目 | 名古屋中村5-2 | 8,350 | 12.1% |
全国トップの上昇率を示したのは、金沢市の「金沢5-13」というポイントです。
北陸新幹線がこの3月に開通しましたが、これに向けて駅周辺でホテル・分譲マンション・商業施設の建設が進められたことが背景にあります。
また、名古屋駅周辺が複数ランクインしているのは、リニア中央新幹線事業の着工等で将来期待が高まったことによるものです。
いずれも金融緩和というだけでなく、インフラ整備で街が変わるという強い期待と裏付けがあるようです。
東京圏では銀座エリアで5地点がランクインしており、坪1億以上というポイントも見られます。
銀座エリアはもともと高級ブランド店が集中する上、近年ではファストファッション関連の店舗が進出し、そこに海外からの観光客が増加して大量消費による売上増をもたらしている状況です。
<大阪圏商業地上昇率トップ5>
順位 | 都道府県 | 所在 | 標準地 | 千円/㎡ | 前年比 |
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1 | 大阪府 | 大阪市中央区宗右衛門町 | 大阪中央5-2 | 7,010 | 11.3% |
2 | 大阪府 | 大阪市中央区心斎橋筋2丁目 | 大阪中央5-23 | 5,700 | 10.7% |
3 | 大阪府 | 大阪市北区大深町 | 大阪北5-28 | 10,100 | 10.4% |
4 | 大阪府 | 大阪市中央区道頓堀1丁目 | 大阪中央5-19 | 2,020 | 9.8% |
5 | 大阪府 | 大阪市北区大淀南1丁目 | 大阪北5-15 | 635 | 9.1% |
大阪圏は全国トップ10にはランクインしなかったものの、こちらも高い上昇を示しています。
1㎡当たり1,000万円を超えたグランフロント大阪南館<大阪北5-28>もさることながら、やはりトップ5のうち3地点をミナミのポイントが占めたという点が注目されます。
銀座エリアと同様に海外からの観光客が大幅に増加しており、心斎橋筋商店街や道頓堀界隈など大阪観光の中心を訪れています。
最近は「爆買い(バクガイ)」という言葉もあるほど中国人ツアー客の消費意欲が”物凄い”ようです。
さて、地価上昇の背景にある「外国人観光客の増加」って一体どれほどなのでしょうか。
レポコラでは「不動産関連指標」を掲載していますが、ホテル関連指標の中に「外国人旅行取扱額」「訪日外客数」という指標があります。
いずれも最近は前期比2割~4割程度の伸びを示していることが見て取れます。この勢いがいつまで続くのか、持続的で息の長い成長であって欲しい、そしてその恩恵に預かりたい…なんて思いながら注目していきたいと思います。